ワタリウム美術館へ中村創が観光に行った時の話

中村創は学生時代に美術サークルに所属していました。その時の友人は今でも人生の宝だと言えますが、当初は美術にそれほど関心がありませんでした。それでもこのサークルを選んだのは勧誘活動をしていた先輩が魅力的な女の子だったからです。そんな不純な気持ちで美術について勉強する事になった事には正直なところ不安もありました。中村創は生来より飽きっぽい性格で継続する事を苦手にしていたからです。しかしある美術館の観光で中村創は美術界に魅せられました。それはワタリウム美術館に訪れた時の事です。ここの作品は展示物の質はもちろんですが、美術館内部の空調も作品に優しい温度が設定されていました。美術作品は保存状態によって年月が経過した時の価値が大きく変わります。ここの空調は少し冷える程度の温度で空気は乾いていました。カビを心配しての事です。人間よりも美術作品を気にした姿勢に心を強く打たれました。ワタリウム美術館の観光は中村創の価値観を大きく変えてくれました。